2015.10.06

羊と共に育むワイン…現存する日本最古のワイナリー

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羊と共に育むワイン…現存する日本最古のワイナリー その一

秋1

実りの秋、美味しいフルーツが次々と旬を迎える中で、

ワイン作りのためのブドウも収穫の時期を迎えています。

この時期にチェックしたい、こだわり生産のジャパンメイド・ワインをご紹介します。

 

まるき葡萄酒株式会社(Marquis Wine)は、

日本ワイン生産のふるさとである勝沼にあり

現存する日本のワイナリーでは最古となります。

こちらの工場見学に行ってきました♪

(どなたでも事前予約で見学可能です!)

秋2

勝沼ICから車で10分弱、ブドウ棚が続く丘陵を走ると、

「もも・ぶどう狩り」の看板がたくさん目につきます。

そのエリアの傾斜地に、可愛らしいオレンジ色の建物が見えます。

秋3

秋4

 

中のショップに入ると、古式ゆかしい看板が。

歴史を感じますね。

秋5

 

さて、ここからスタッフの方が軽妙な語り口で工場内を案内してくれます。

まずは外に出て、実の選別機、絞り、発酵を行うスペースへ。

ブドウの実や種のエグみが出ないように、完全には絞りきらないそうです。

絞った後の掃除は、見るからに重労働。

秋6秋7

秋8

そして建物脇の坂を下り、地下1階にある貯蔵熟成室へ。

入った瞬間、ブドウの果実の匂い、そして独特の酸っぱい匂いに包まれます。

秋9

こちらでは熟成の段階を「ヌーボー・長期熟成・樽発酵・シュールリー」と分けて生産しています。

実は筆者が甲州ワインに惚れ込んだのは、かなり以前に「シュールリー製法」の白を飲んだことがきっかけ。

正確にはフランス語のシュール・リー(オリの上)という意味で、一度発酵させたワインに「オリ」を再度加えて熟成し独特の香りや深い風味をつけること。

ドライ、フルーティー、そんな表現では足りない独特の芳香。

強い食事にも負けない、でも食事を邪魔しない、不思議な魅力のアロマ。

ぜひ試していただけたらと思います。

秋10

さて、こちらの風景は、職人さんが木の棒でオリの沈殿具合を計り

ワインの熟成度を見極めるところ。

この仕事ができるようになるまで、2~3年はかかるそうです。

梯子の上の職人さんは、超!ベテランとのこと。

 

そして樽の木の香りをつける段階の部屋。

なんとも言えない静謐な空気につつまれます。

古代の人々がワイン造りを神聖なものとして考えていたことが納得できる…そんな空間です。

秋11

一旦外に出て、今度は地下2階の貯蔵庫へ。

なぜワイナリーが傾斜地に建っているのか。

すり鉢状の土地は、雨水とともに栄養素が下に流れて底面の畑を豊かにします。

もう一つ、傾斜地に横穴を掘る形でワイナリーを建てることで、

天然の冷貯蔵庫ができるから、というわけです。

 

こちらの貯蔵庫に入ってすぐ、かびの匂いと共に、

タイムトラベルをしたかのような錯覚にとらわれます。

秋12

甲州ブドウでワインを作るなんて無謀だ、と言われ、

だからこそ反骨精神でやりとげた「まるき葡萄酒」先代ゆかりの部屋。

初期の試作品や、門外不出のビンテージまで、こちらで悠久の眠りについています。

秋13

樽熟成を終えたワインは瓶詰めされて、ここで静かに貯蔵されるのです。

天然の冷蔵庫の空気は、しっとり、そして、ひんやり冷たく、

この地がワイン作りに選ばれた理由が体感できます。

 

話題を畑に移しましょう。

ワイナリーの後ろには自社畑が広がっています。

秋14

何種類ものブドウが育っていますが、こちらの写真は

ワイン好きならきっと知っているであろう、カベルネ・ソーヴィイヨンの垣です。

秋15

この品種には目がない筆者…、思わず「いつもお世話になっています!」と

声かけ敬礼してしまいました(笑)

秋16

ブドウ栽培で一般的な手法は、棚作です。

 

甲州ブドウを栽培し始めた黎明期、山梨の土壌は酸性だったそうです。

その状態で垣栽培をしてしまうと、下の方に生った実が雨粒の跳ね返りで酸性土壌を浴びてしまうので、棚が主流になったとか。

今では土壌改良したため、垣での栽培が可能となりました。

 

さて、ここでスタッフの方々と一緒に働いているのが羊達です。

このときはノンビリと休憩中。

秋17

羊と共に畑の育成を計っている理由として、もちろん除草の意味合いもありますが、

・糞による肥料としての役割

・蹄が二股に鋭利に分かれているため、歩いているだけで畑を耕す事となり

土に酸素が入り込んで細菌が活発になる

とのことでした。

動物と共生するということは、土、植物、人への恵みと循環していくものなのですね。

のどかな風景を眺めながら、知識だけではなく体感ができる貴重な時間でした。

 

最後に、かわいいオチを。

「どうして山羊ではなく羊なのか」

ブドウの房にかける紙を食べてしまうから、なのだそうです(笑)。

 

次回のレポでは、ワイン販売ショップの様子や試飲、

実際に買ってみたワインの感想などをお伝えします。

 

■まるき葡萄酒株式会社 HP

http://www.marukiwine.co.jp/

トップページ上でカーソルを動かすと、かわいい羊たちの写真を見る事ができます♪

 

■工場見学についてはこちら

http://www.marukiwine.co.jp/winery/40winery/winerytour.html

 

ライター Lucy

この記事を書いたORGANAキュレーター

伊藤隆子
伊藤隆子
アンチエイジングフードマイスター・アドバンス。
東京で生まれ育ち、神奈川の逗子海岸で30歳代を過ごし、40歳代半ばで長野県最南端の売木村(うるぎむら)へIターン。海抜0mから900m地点へ生活の場を移す。「長野県で2番目に人口が少ない村」より日本の山里・里山についての情報発信を行う。
デザイナーから自然食品メーカーへ転職し、食品商品開発や卸業務を担当した経験を活かして、売木村の特産品生産などに取り組んでいる。
日本アンチエイジングフード協会HP内の紹介記事:https://anti-agingfood.com/871/
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