2016.1.10 日曜日

【本物の基本調味料って?】・・・・味噌編


基本調味料に本物とか偽物とかあるの?シリーズ第二弾。
何気なくスーパーで手にとるそのお味噌、本当に本物ですか?
発酵スペシャリストの花巻ゆみ先生に、味噌について聞いてみました。

  • Q. お味噌の本物と偽物の違いをおしえてください。

味噌大豆出典:www.koji-za.jp/
お味噌は昔から『手前みそ』と言われるように各家庭で一般的に造られ、各家庭・各地方で其々に個性があるため、お醤油のようにJAS規格による縛りがありません。そのため市販されているお味噌の中にもきちんと醸造熟成過程を経たものも沢山流通しています。裏のラベルを確認することで、簡単に正しく醸造熟成させたものであるかどうかを見極めることができます。醸造期間を充分にとり熟成させたお味噌の原材料は大豆(麦)・米・食塩~たった3つの材料が記載されているだけです。コレ以外のものが記載されている場合、醸造期間を充分にとらないで、手っ取り早く味噌の味や香りに近づけるためにアルコールや旨み成分が添加されています。
お味噌の場合もお醤油同様に『大豆(国産)』と書かれていないものは輸入された大豆と考えて避けるべきです。日本にアメリカやカナダから輸入される大豆は遺伝子組み換えのものと考えるのが妥当です。遺伝子組み換えでない輸入大豆は味噌・醤油・納豆などの加工品には利用されることはありません。したがって生産者にとって値の張る国産のものを使っていれば大きな売りのポイントですから、『国産』と書かない製造業者はまず無いと考えられます。
またお味噌に関しては、なかなか市販のもので瓶入りはなく、殆どがポリの袋や容器に入っています。しかしながら醸造熟成させ添加物が入っていない味噌は発酵菌が生きていて分解力が強いため、購入して家庭に持ち帰られたらガラス瓶などに移し替え冷蔵庫で保存していただくのが理想です。市販のものには賞味期限が書かれていますが、原材料が3つだけのものであれば、追熟して行くので味に変化(甘みが減り酸味が出てコクが増す)はありますが、腐ることはないので色が濃くなってしまったからといって廃棄しないでください。
甘みが足りないと感じる場合は若い白みそと混ぜて、合わせみそとして使用してください。

  • Q. お味噌は発酵食品としても優秀ですが、お味噌にふくまれる発酵成分にはどんな効能がありますか?

お醤油同様に正しく醸造熟成させたお味噌に関してお伝えさせていただきます。お味噌の醸造にも3種類の微生物が関わっています。最初に関わるのが国菌と呼ばれる麹菌です。麹菌は多くの分解酵素を作り出したんぱく質をアミノ酸(旨み成分・グルタミン酸など)に米(麦)のでんぷんを(甘み成分・ブドウ糖など)に分解します。麹菌が作り出す酵素は人が持っている酵素とリンクしているため、体内酵素(体内で作られる酵素)を使用することなく食物を分解することができるので、身体に負担を掛けません。したがってその分、身体は代謝に力を注ぐことができるのでアンチエイジングに繋がります。
次に関わるのが乳酸菌で麹菌が作った糖を乳酸や有機酸に代えるので、酸性に傾き腐敗防止に役立ちます。乳酸は味噌の味に深みを加えます。
最後は酵母菌です。糖からアルコールや300種類以上の複雑な香りの成分(エステル香)を作り出し、日本人が大好きなお味噌の香りとなります。エステル香には心を穏やかにし抗腫瘍成分も含まれていると言われています。
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そして熟成が進むとともにメイラード反応が進みメラノイジン(褐色色素)が生成されます。このメラノイジンは腸の再生をつかさどる小腸腺窩細胞を増やすので、健全な腸を作るために大変役立ちます。腸が良くなれば肌の状態も良くなるので、メラノイジンもアンチエイジングの効果があるといえます。またメラノイジンは放射能による身体への悪影響を軽減させたり、がん抑制効果があるという論文も書かれています。
日本人が香りを嗅ぐだけでホッとし、心が穏やかになるお味噌の成分にはただ単に旨みをプラスするだけではなく様々な効果が期待できるのです。お醤油よりもお味噌の方が大量に摂取することが出来ますから、毎日のお味噌汁は欠かさず飲んでいただきたいと思います。

  • Q. おすすめのお味噌を教えてください。

まるかわ味噌
出典:marukawamiso.com
大量生産をされていない味噌蔵さんのお味噌をお勧めいたします。原材料は『大豆(麦)・米・塩』のみ。昔ながらの製法で木樽を使い醸造熟成をさせている味噌蔵さんのお味噌であれば間違いありません。お醤油同様、お味噌造りにおいても木樽はとても貴重です。木樽は一度造れば100年以上持つために今醤油の木樽が作れる職人さんがいる樽屋さんがたった1か所だけになってしまいました。木樽を絶やしては日本の発酵文化は消えてしまうと言っても過言ではありません。あの細かい木の目の間に微生物が住みつき味噌は熟成をすすめてゆきます。大量生産で作れば値段も安価になりますが、添加物を加えなければ安定せず商品として成り立たないものとなるため、原材料に添加物が含まれているものを購入しないように注意して選んでください。そしてお味噌の場合はご家庭で造る『手前みそ』が№1のお勧めです。毎年新大豆が販売される今の時期に家族1年分の仕込みが出来れば~これ以上勝るものはありません。日本の代表的な発酵食品であるお味噌。是非『お味噌=家庭で造るもの』として子供たちの代に繋げて行っていただだきたいと思います。
いかがでしたか?日常的に使う味噌や醤油などを本物に変えるだけでも、知らず知らずのうちに取り込んでしまう食品添加物は大きく減らすことができます。
ラベルをしっかり読み込んで、本物の調味料を使いませんか?
また、味噌は手作りも意外と簡単にできてしまいます。
それぞれの材料を集めるのがちょっと手間なので、以下のような安全安心の味噌屋さんの手造りセットを買っても。
本物の手前味噌は、なによりも代えがたい味わいがあるものです。
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マルカワみそ
自然栽培 手作り味噌セット(中辛) 玄米麹
全国的に珍しい玄米麹は、甘み以外の旨味があり、自然栽培ですのでのど越しのよい味噌になります。
出来高約3kg 2,862円/ 出来高約6kg 5,452円
http://marukawamiso.com/item-cat/make-set
 
 
 
この冬はぜひ手前味噌つくりにもチャレンジしてみてくださいね♪
お話しを聞いたのは:
発酵マイスター/アンチエイジングフードマイスター 花巻ゆみ先生
花巻ゆみの発酵教室(お味噌や醤油などを自宅で作る発酵教室も開催中)
ライター:唐澤佐千子(アンチエイジングフードマイスター)