2018.6.8 金曜日

どうやって防ぐ?あなたの周りの環境ホルモン

あなたの周りは環境ホルモンだらけ・・・どうやって防ぐ?アレルギー

環境ホルモンとは、外因性内分泌攪乱物質または外因性内分泌攪乱化学物質のこと。
環境ホルモンという名は、ある一つの物質の名前ではなく、生物のホルモンの働きを狂わせてしまう物質の総称です。環境ホルモンは、体内の正常な働きをするホルモンの働きを壊すことで、様々な異常を引き起こします。環境ホルモンの原因は殺菌剤・防腐剤・殺虫剤・農薬・食品添加物・ダイオキシンなど、約70種もの化学物質、その他に環境汚染された状態の川や海などの有害物質も該当します。
私たちは今、これらの環境ホルモンの「ケミカルスープ」の中に生活していることをご存じでしょうか?

化学物質を一番多く取り込むのは室内の空気

空気による汚染
人体の化学物質摂取率の57%は室内の空気です。アレルギーといえば食物が注目されることが多いのですが、アレルゲンとされる食物の割合は実は7%にしか過ぎません。空気がなければ生きていけないように、非常に摂取する量が多く、空気中から取り込まれる化学物質は成人で約15-20kgと言われています。また、肺胞表面積は成人で60-70㎡もあり、肺胞膜厚は0.5㎛以下と非常に薄いため、吸収効率は経皮吸収の比ではないのです。
また、食物アレルゲンが口の粘膜から腸管までの消化器を通じて血中にとりこまれるのに対して、呼吸からの化学物質はなんと上気道(鼻腔・喉・気管)からダイレクトに血流に乗って全身をめぐり、解毒器官である肝臓での代謝が遅れるのです。
室内の空気に含まれる化学物質は、建材や家具の接着剤に含まれるホルムアルデヒドなどのVOCs(揮発性有機化合物)、殺虫剤、消臭剤、芳香剤、燃焼器具、タバコ、カビ、ダニ、ペットアレルゲン、いわゆるにおい物質やPM2.5などです。これらは気温の上昇とともに数値を増すのが特徴です。さらにそれぞれの物質については人体に影響がないとされる基準値が設けられていますが、問題は複数の有害化学物質が重なり合った複合汚染となった今、それらの基準値は意味を持たないということ。
これら化学物質は嗅覚受容体(嗅覚細胞)から入り込み、大脳皮質嗅覚野で行動異常や自律神経異常、免疫・内分泌などに悪影響を与えることがわかっています。しかし、どれも私たちの生活の周りに大量にあり、避けようがないものばかりです。

化学物質に感受性の高い女性と子供を直撃する環境ホルモン

体重あたりの換気量
安静時における体重(kg)あたりの呼吸量は、実は子供たちのほうが大人より多いのをご存知ですか?毎分の換気量は乳児の場合、大人の3倍、6歳の子どもでは大人の2倍です。そして、成長段階の子どもは肝臓で化学物質を代謝する能力が未発達のため、安全な物質に分解しにくく、さらに排泄能力も未熟で有害な化学物質を濾過して排泄する腎臓の機能も低いのです。
また昨今のマンションや新しい戸建ての住宅は昔の日本の木造住宅より気密度が高く、自然な換気がなされないのが特徴です。小さな子どもやお母さんが室内でよく過ごす、床から60cmの高さは、床からの揮発性物質の影響を最も受けやすいといわれています。その密封された空間で、小さな子どもと過ごす時間の多い女性は、当然室内の化学物質に暴露される機会が多いことは容易に想像できることです。

胎児から始まる環境ホルモン汚染

現代の子ども達は、生まれる前、母親の羊水の中にいるときから、様々な化学物質の曝露を受けていることがわかっています。(千葉大学環境健康フィールド科学センターの調査による)胎児が成長するための栄養はへその緒を通じて、母親の呼気、食事、飲み水などから摂取しています。実際、千葉大学の調査では、DDTやダイオキシン、PCBやカドミウムなどがへその緒から検出されているのです。それは、それらの汚染物質が、産まれる前から胎児を汚染していたということ。
母親世代もまた高度経済成長後の様々な化学汚染物質、そして食物中の添加物やその他大気汚染の中にいるのであるから当然のこと。その化学物質の中には、農薬のDDTや環境ホルモンであるPCB(ポリ塩化ビニール)のように、環境中で長い間分解されずに残留し続ける物質も含まれています。そのような物質が食物連鎖を通じて、生態系ピラミッドの頂点にいる生物に高濃度で蓄積し、濃縮されるのは当然のことといえます。生態系ピラミッドの頂点とはつまり人間。子供のアトピーや喘息の増加は、こういった蓄積も一端にあると考えざるを得ないのが実情なのです。

新しい公害「香害」

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化学物質が人間に影響を及ぼし、病気と認識された化学物質過敏症、いわゆるシックハウスやシックスクールといった特定の人にでるアレルギー症状ですが、ある石鹸会社の広告で「日本に新しい公害が生まれています。その名は「香害」」と書かれているように、柔軟剤や洗剤に香り成分として入れられた化学物質の香料や添加物がきっかけで社会生活を送れなくなってしまった方が多くうまれているのです。閾値を超えたら誰もが発症しうるアレルギー。明日はあなたがこの特定のアレルギーに悩む一人になる可能性もあるということです。しかし、これらの総量を抑えることで解消できる疾病は多いのです。
香害以外でも、実は眼の症状の82%、耳鼻科症状の64%、肩こりの58%、慢性疲労の52%、睡眠障害の46%、記憶力低下の42%、集中力の低下56%など、症状として現れているほとんどの原因が化学物質なのです。(北里研究所病院 臨床環境医学センター受診患者のデータによる)
これまで私たちが生産し、使用してきた化学物質の総量を考えると、これからアレルギー蔓延社会が始まる、いやすでに始まっていることは明らかです。これから求められるのは「環境ユニバーサルデザイン」といえます。
そのためには、廉価で手に入りやすい化学製品の危険を正しく知り、ホームケア用品や日用品をナチュラルで危険な化学物質を使用していない商品に置き換えていくことしかありません。

今ある便利を捨てない置き換え法

掃除イメージ
だからといって昔ながらの生活に戻れというわけではありません。今現在使っているものの素材や材料を、有害な化学物質を含むものではなく、サステナブルな材料や、安心安全なナチュラル素材のものに変えていけばよいのです。
具体的には、プラスチック製の容器や水筒をできるだけ避け、自宅はよく換気し、可能であれば空気清浄機を使うこと。ただし、ダクトやフィルターはこまめに清掃する。殺菌・消臭スプレー、合成化学物質を使った芳香剤は使わないで、ナチュラルなものに。最近はイオン化した水をつかった消臭スプレーもたくさんでていますね。同様に洗剤、クリーナー、美容製品などもできるだけ合成化学物質を避け、オーガニックなものや重曹や石鹸ベースのナチュラル系に。
ちなみに過剰な殺菌・消臭は人間の腸内細菌叢マイクロバイオームにも悪影響を及ぼすといわれています。今、話題の「香害」の原因となる芳香成分入りの洗剤や柔軟剤は、自分や家族だけでなく、周りに住む人や同僚、同級生にまで健康被害を与える可能性があります。
また、環境中の有害物質を吸着して除去する植物を室内に置くのも有効です。手に入れやすく、効果が高いとされている植物としては、アロエベラや菊・ガーベラなど。また、NASAにより空気清浄効果が認められ、かつアメリカParents Centerによる「子供に安全な植物リスト」にも載った観葉植物として、オリヅルラン、サンセベリア、ドラセナ•フラグランス(「幸福の木」と呼ばれることも)、ポトス、アグラオネマなどがあります。
環境ホルモンの影響は長きにわたり、地球や人類に影響を及ぼすもの。今すぐやめたからといって解決するものではありません。しかし、私たちがよりナチュラルでオーガニックな商品を選び、消費傾向が変われば、大企業もそちらに舵を切り、社会は確実に地球にやさしい商品つくりを始めていきます。まずはあなたが今日お店で選ぶものから・・・・その選択をかえてみませんか?
オルガナでは環境ユニバーサルデザインの商品を、今後も継続的にお知らせしていく予定です。