この冬の風邪対策に「生ハチミツ」はいかが?
お砂糖に代わる甘味料としても注目される「ハチミツ」。でも、昔から喉の痛みを癒したり、火傷にいいとされたり、極端な話エジプトのミイラにも使われるなど、抜群の殺菌・消炎効果で民間療法の万能薬とされてきました。
近年の研究では、ハチミツが小児用の咳止めシロップと同等かそれ以上の効果があるという報告*もなされています。
*米ペン・ステート大学医学部(ペンシルベニア州)
米医学誌「Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine」12月号
*夜間の咳と睡眠の質に対する蜂蜜の効果:二重盲検プラセボ対照
RCTCohen HA.et al.Pediatrics.2012:130:465-71
医学的なエビデンスはさておき、最近では手作りコスメとして利用したり、歯磨きや胃腸薬、はては目薬まで(!)使えるとのことですが、まずは民間療法でも一般的な「風邪対策」について紹介したいと思います。
- ハチミツの健康効果が失われていない「ローハチミツ」を選ぶ
使い方の前に、まず大切なのが「どんなハチミツを選ぶか」ということ。残念ながら日本で流通しているハチミツの多くが、結晶化を防ぐために精製・加熱処理されているものばかり。精製で微量な栄養素が失われるだけでなく、60度以上の加熱では大切な酵素も壊されてしまうため、せっかくの健康効果が薄れてしまいます。ハチミツの効果を最大限に享受するなら、「ローハチミツ」を選ぶのが大切です。
海外産はもちろん、近年では産地直送で国産生ハチミツもいろいろ登場。
- 特に注目される「マヌカ」「レワレワ」「ジェリーブッシュ」「ジャラ」
1980年頃から「マヌカ」のハチミツの他にはない独特の抗菌・治癒効果があると研究者の間で話題になっていました。それが2008年にドイツの研究機関で「MGO:メチルグリオキサール」という物質であることが判明。一気に「マヌカハニー」が脚光を浴びました。となれば、他の植物のハチミツにも「何かあるんじゃないか」と思うのが自然。結果、レワレワ(ニュージーランドスイカズラ)、オーストラリアの「ジェリーブッシュ」、ユーカリの一種である「ジャラ」にもマヌカと同じような強い抗菌作用があることがわかりました。これらは、希少なこともあり「メディカル系ハチミツ」として販売されています。お高めですが、我が家の常備薬として1瓶キープしておくといいですね。
マヌカハニー
レワレワハニー
ジェリーブッシュ
ジャラ
- 風邪予防には寝る前に「ワンスプーン」or「はちみつうがい」
前述の研究では、子どもたちが寝る前にスプーン1/2〜2杯のハチミツをなめるという方法で、咳症状の緩和が見られました。喉の調子が悪い時、最も回復力が高まる睡眠中に患部に塗るつもりで飲むのがベストということでしょう。甘さが気になる人は、ハチミツを水に溶かして “ハチミツうがい”でもよいそう。
ちなみに「虫歯になるのでは?」という心配をされる方も多いかもしれませんが、なんとハチミツの抗菌効果はミュータンス菌の働きまで抑える効果があるらしいとのこと。さらに、ブドウ糖と果糖からなるハチミツは虫歯菌の餌になりにくく、むしろ欧米や中東では民間療法として歯槽膿漏や口内炎の薬にも長く使われているそうです。
- さらなる助っ人「ビタミンC」で免疫力を高める
ハチミツ単体でも優れた免疫力強化・殺菌・消炎効果があるとされていますが、そのパワーを引き出し、栄養的に補完するのがビタミンCと言われています。ハチミツの健康効果に対しての研究先進地ドイツで2014年に刊行された、ドイツ蜂療法協会のデトレフ・ミックス氏による著書「マヌカハチミツ(Manuka-Honig)」(残念ながらまだ翻訳されていません〜)によると、ハチミツと組み合わせて使うと免疫力・治癒力強化に特に効果的なのは、「プロポリス」「花粉(ポーレン)」「ロイヤルゼリー」に次いで、なんと4番めに「緑茶」が紹介されています。日本でも緑茶うがいが話題になるほど抗菌効果に優れている緑茶と組み合わせることで、いっそう風邪対策に有効と言えるでしょう。
なお、実は様々な栄養素を含んだハチミツですが、ビタミンCの含有量はほんのちょっぴり。それもあって、ビタミンC豊富な緑茶がいいパートナーなのかもしれません。注意点としては、ハチミツの栄養を損ねないよう熱いお茶には入れないこと。そして、お茶のカテキンが鉄の吸収を妨げるので、鉄分を採りたい人は間をあけて飲むこと。うがいをする際は、緑茶で殺菌してから、ハチミツで消炎の順番に行うとよいでしょう。
- 熱を出したら「ハチミツ&ビタミンC&海塩入りドリンク」で水分補給
ハチミツの栄養の特徴は、そのバランスの良さと吸収の良さ。ブドウ糖と果糖をメインに、グルコン酸やクエン酸、コハク酸などの有機酸や、ビタミンB1、B2、葉酸などのビタミン類、カルシウム、鉄をはじめ、27種類のミネラル、たんぱく質を構成するほぼ全て22種類のアミノ酸、アミラーゼやグルコースオキシターゼなど80種類の酵素、ポリフェノールや若返り効果があるといわれているパロチンなど、150を超える成分が含まれています。マヌカハニーのところで触れたように、まだ未知の微量栄養素が含まれるかもしれません。
そこで、熱を出した時には、効率的に栄養を摂り、免疫力を高める「栄養ドリンク」として飲むとよいでしょう。前述のようにビタミンCが少ないので、レモンなどの果物を加え、さらに汗をかくと失われがちな塩分を加えるとパーフェクト!もちろん、スポーツや入浴後などにもおすすめです。
オルガナ編集部