2021.7.9 金曜日

いまさら聞けないオメガ3の話

オメガ3とは

オメガ3脂肪酸にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)、DPA(ドコサペンタエン酸)、α-リノレン酸などがあります。
サラサラしていて常温では固まりにくく、体内では作ることができない必須脂肪酸の一つです。

脂は体に悪いイメージを持ちがちですが、オメガ3の脂質は悪玉コレステロールを抑えて、がんや動脈硬化を引き起こす過酸化脂質の予防効果があり、健康には欠かせない脂なのです。

なんでオメガ3が必要なの?〜現代人のオメガ3不足

 オメガ3脂肪酸を含む食材には、動物性ではマグロやカツオ、イワシ、植物性ではエゴマ、シソなどがありますが、食生活の欧米化から若い世代を中心に、現代人はオメガ3不足だといわれています。

 なぜならオメガ3が豊富といわれている魚食が圧倒的に減ってきているから。さらにいえば、オメガ3は非常に熱に弱く、酸化しやすい物質です。魚にふくまれるオメガ3は刺身など生で食べたり、煮物なら汁にとけだしているので汁ごとのまないと摂取できないからです。魚の生臭さが苦手、生の刺身は苦手、そんな人が多くなってきているのです。

 オメガ3が不足すると、動脈硬化や高血圧、血栓、アレルギー症状、記憶・学習障害や視機能障害などを招きます。これらは女性の症状として女性特有のホルモン由来の肌トラブル、生理痛、生理不順、冷え性、更年期症状などを起こします。

オメガ3の代謝が重要

いわゆる植物性オメガ3のアマニオイルや荏胡麻オイルはαリノレン酸。体内に入るとそれらは体内の代謝酵素の働きによって、EPAに代謝変換され、最終的にDHAとなり、カラダの様々な場所の恒常性を保つ役割を担っています。

 EPAにはドロドロの血を改善し、血流を良くする効果があります。それにより、摂取したDHAをスムーズに脳まで送り届けられるようになるなど、お互いを補い合う効果を持っています。DPAは含まれているものは少ないのですが、血流改善効果はEPAの10倍ともいわれ、見逃せない成分です。

 しかし、この体内で最終的にDHAに分解していく代謝酵素は年齢と共に減少する上に、個人差があり、特に女性は閉経後減少するといわれています。さらに、中にはまったく代謝分解できない人がいることも最近の研究でわかってきました。そのため、毎日アマニオイルを摂取していても、血液検査をすると、カラダの中のオメガ3がまったくなかったという人も。

オメガ3とひとことでいってもいろいろある

 オメガ3の1つ、αリノレン酸は日常の食事、例えば亜麻仁油・えごま油、生のサーモンや青魚、くるみ、なたね油、卵黄でつくったマヨネーズや麻の実などにもふくまれています。

 DHAはマグロ・カツオ・サンマ・サバ・サケなどに多くふくまれていますが、最近の研究でこれらの魚は、小さな魚を食べますが、その小さな魚が食べた藻でDHAを受け取り、カラダの中に保有していることがわかりました。つまり魚が元々DHAをもっているわけではなく、食物連鎖の藻が由来というわけです。

 海洋資源の乱獲や重金属、環境ホルモン、マイクロプラスチック汚染などの問題と共に、本当に安全な魚などの海洋資源は減少しています。そのため、最もDHA・EPA摂取として安全で効率的なのは、この藻を養殖して抽出した次世代の藻由来オメガ3といわれています。しかも藻由来なので植物性。動物性のオメガ3(サーモンオイルやクリルオイル)をさけたい方も摂ることが可能です。

オメガ3の選び方

●どのくらいオメガ3がはいっているか確認する

厚生労働省はオメガ3の1日1g(1,000㎎)の摂取を推奨しています。

市販されているDHAサプリメントを購入する際は、1日の摂取量に対してどのくらい含まれているか確認することが大切です。

どこのメーカーも1日の摂取量をターゲットにはしておらず、食事て摂取したオメガ3を補完するという立ち位置で、配合分量はまちまちなのが現実です。一粒のグラム数または1日の摂取粒数に対するグラム数の中で、実はオメガ3は半量以下。カプセルタイプであれば、カプセル自体の重量や、保存のための添加物が計上されています。

オメガ3をとっていると思っても、実際は、半分はカプセルの材料や添加物なのです。大抵のパッケージに配合オメガ3量として明記してあるので、それをよく見て、選ぶことが大切です。

●酸化によわいオメガ3、品質が大切

 オメガ3のオイルはオメガ3以外にもビタミンなどの他の栄養成分が追加されていることはとても重要です。なぜならオメガ3は熱に弱い性質もさることながら、そのままではとても酸化しやすく、安定が難しい脂肪酸だからです。そのため、ビタミンEなどの成分は酸化防止剤として添加されています。
 さらに、その製造過程もとても重要で、信頼できない工場だと製造過程で酸化が進んでしまっているものも。そのため酸化しやすいオメガ3の成分の品質管理が徹底されている可能性の高いGMP(注)という厳しい国内基準を通った工場でつくられたものを選びましょう。

 保存方法としては、酸化を防ぐために常温ではなく冷蔵庫保管にします。そして開封したら少なくとも3か月以内には飲み切る、食べきるようにしたいものです。

●実は大切なオメガ3とオメガ6のバランス

オメガ3を摂りたいあまりに、亜麻仁油やえごま油、オメガ3サプリだけを食べることはおススメしません。オメガ6には炎症を抑える効果もあるので、アレルギーのためにオメガ6抜きをしてオメガ3だけを摂り続けた結果、アレルギーが悪化したという例も実際にあります。

オメガ3はオメガ6(グレープシードオイルやコーン油、大豆油などに含まれています)脂肪酸とバランスよく取り入れることでそれぞれの効果が発揮できます。

必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率4:1が推奨されています。ただし、現代の食では、お弁当やお惣菜に含まれる揚げ物などで過度にオメガ6を摂取しているので、その心配はないといわれています。

 ひと昔前の「脂は悪だ」という考えは、過去の栄養学です。現在は、良質な脂質を多くとることがよく、次に炭水化物、タンパク質の順番で摂ることが理想的な栄養バランスであることが、わかっています。
とはいえ、脂ですので摂り過ぎは注意。上記のようなバランスに注意して、オメガ脂肪酸を上手に取り入れていってください。


 ひとことでオメガ3といっても、いろいろな種類が売り出されていて、どれを買っていいのかわからない、どれも一緒でしょ?という方が多いと思います。しかし、効率的に安全なオメガ3脂肪酸を摂るには知識が必要です。人が自分のカラダの中では作り出せない必須脂肪酸であるオメガ3。

上手に選んで、賢く利用してください。あなたの不調の一助になりますように。