「大人気鹿ツアー&鹿ジビエの“山師料理”長谷部晃に迫る!」~長野県伊那市「ざんざ亭」
今、大注目のジビエ料理。
高タンパク低カロリーでダイエットやアンチエイジングに効果があります。
特に鹿肉は、クセの少ない淡白な赤身肉で、鹿肉に含まれるカルニチンは、脂肪の燃焼効果があり、カルニチンの含有量は豚肉の約8倍と言われています。ダイエットや運動時の持久力や運動能力を向上する作用があるため、アスリートにも人気、これから大注目の食材なのです。
これが鹿肉!赤みと脂肪のコントラストが力強い!
その鹿ジビエと郷土料理を融合した“山師料理”を造り出す「ざんざ亭」店主 長谷部晃さんをご紹介いたします。
皆さんは、長野県伊那市にあるパワースポット「分杭峠」をご存知でしょうか?ここ数年、テレビ・ラジオや雑誌で“分杭峠のゼロ磁場”が大きく取り上げられて、たくさんの観光客が訪れます。
その分杭峠のふもとに、築150年以上の古民家を改築した古民家宿「ざんざ亭」があります。
昔から伊那市長谷地区で親しまれてきた座敷歌「ざんざ節」発祥の地であることから、名付けられた「ざんざ亭」は、「鹿」に始まり「鹿」で終わる、まさに鹿尽くしなのです。
近年、野生鳥獣による農林業被害額は、年間10億7千万円(平成26年度)と発表され、経済的な損失に加えて、農林業の生産意欲を減退させるという精神的な被害を及ぼし、農山村地域においては、深刻な問題。
中でも、一番多いのが鹿の被害です。平成25年には、長野県で39,663頭の鹿が捕獲され、伊那市だけでも約5000頭の捕獲が報告されています。捕獲した鹿は、埋めたり焼却したりされており、近年、地域資源として有効活用できないかと取り組みが始まっています。う~ん何か他の活用法がありそうですよね!
鹿肉は、一般的には固くて臭いとか、調理しにくい食材だと思われていることが、猟師にも人気のない理由。イノシシよりも多く獲れるのにもかかわらず、ハズレくじを引いたように扱われることが多いのだとか。
猟師仲間のやり方を見ていて、もう少し良いやり方あるだろうと思ったのが、長谷部さんが鹿ジビエを研究するキッカケになりました。なんか鹿がすごくかわいそうになって、もっと美味しくしてやりたいと思ったと言います。
優しい、長谷部さん。
そもそも、長谷部さんは、長野県の善光寺のある長野市生まれ。大学に入って山登りを始めたことをきっかけに、学生時代には、槍ヶ岳の山小屋でアルバイトをし、料理の基礎を日本料理人に教わったのだとか。卒業後も山で働き、山岳救助隊も経験。もっと山を創り、山に恩返しが出来る仕事に就きたいと様々な林業関係の仕事を経て、猟師になりました。
長谷部さんは、日々、鹿を捌き、鹿と向き合って、山に捨てられてしまうような存在だった鹿に可能性を見出すために、日々研究を重ね、独自の道を開拓してきました。
鹿をとことん、愛し抜いている!
ジビエとは狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味する言葉(フランス語)で、ヨーロッパでは貴族の伝統料理として古くから発展してきた食文化です。基本的には四つ足の、鹿やイノシシ、小さいものではうさぎ。鳥だとシギとかキジ等のジビエを使い、昔は、上流階級の貴族の口にしか入らないほど貴重なものでした。そのためフランス料理界では古くから高級食材として重宝され、高貴で特別な料理として愛され続けてきました。
長谷部さんの鹿料理は探究心の表れ。鹿の血のパテや脳のてんぷら、鹿骨のスープ、そして、単なる肉を使った鹿料理にとどまらず、現在では鹿一頭をまるごと使う鹿づくしのコースにまで広がってきています。
ジビエにあまり馴染みのない日本では、ワインにも合うため、グルメ好きにはたまらない人気の高い料理になってきていますが、長谷部さんは、鹿肉の魅力をこう語ります。
「鹿肉の魅力は、よくよく研究してわかったのが、やっぱり脂がないこと。野生の肉には、筋肉には必ず筋膜があって、それを入れると途端に固くなるので、部位ごとに用途も違うので、構造を理解して料理をしないと美味しくならないですよね。焼いてみると、ブタよりも柔らかい。繊維質が弱くて水分が多いので、赤身を焼いた時にジューシーになるんです。」鹿を研究し尽くしただからこそ、その言葉に重みがあります。
生命との関わりについても、このようにこう話しています。
「一般的に、スーパーや肉屋で売られている肉、また切り分けられたものしか、目にすることはありませんが、肉っていうのは食べるまでにすごく苦労をするんです。簡単に言うと、肉屋で買うとモノだけど、僕なんかは、動物を殺しているんで、殺人者ならぬ殺動物者なんです。生きているものを殺しちゃうってことは、結構すごいことで、虫とか、小さい動物だとそんなに罪悪感を感じにくいですが、鹿って大きいでしょ、ナイフを刺すと本当に鳴くんですよ、「キュウーッ」って。これを体験すると、これを、この命を無駄にできないだろって思うんですよね。」
長谷部さんが、鹿料理人ではなく、山師料理人というのは、単にジビエ料理を食べさせるのでは
なく、郷土料理を融合したジビエ料理を出したかったから。せっかくの郷土の料理を残すために、山師料理という名前をつけて残して、食事を提供しています。例えば、長谷部さんのお店で一番人気の鹿肉のハム。
豚の脂を使わないことがモットー。脂は風味のもとなので、ジビエに家畜の脂使ってしまうと、やっぱり家畜の味になってしまうので、すべて鹿肉だけで作っています。
ハムには粒山椒を山から採ってきて、細かく砕いて入れています。このように山から色々な恵みを採ってきて、加えながら作ります。
長谷部さんの活動は。山師料理だけにとどまりません。「ざんざ亭」を、食と山を結びつけられる場所としたかったという想いどおり、いろいろな活動を行っています。
狩猟体験に興味があり、プライベートでも特殊な体験をしてみたいという方のために山里の銘組を体験するツアーも企画。猟師さんの哲学を聞きながら、鹿を解体し、その肉を持ってかえり食べるという企画は、来年早々、2016.1.30(土)・31(日)に実施されます。人気の企画なので、お申し込みはお早めに。
Tabizen 南アルプス長谷杉島の山里の恵みを満喫する旅・冬<第2章>
日程 /2016.1.30(土)・31(日)1泊2日(3食付) http://goo.gl/qHftFG
これはすごい解体所の見学!
また、2016年2月から3月までの限定期間、東京の渋谷ヒカリエ8階d47食堂にて、「長野定食 鹿ローメン」をお出しします。伊那の地域食「ローメン」を地域の食材の極致とも言える鹿や野菜たっぷり食べられます。
d47食堂 https://goo.gl/38ksKj
山を愛し、鹿をこよなく愛する長谷部さんの挑戦は、まだまだ続くでしょう。
「ざんざ亭」へのお問い合わせは、こちらから
http://www.zanzahotel.jp/
ライター Michiyo