季節を味わい体が喜ぶ 江戸おかず 12ヵ月のレシピ
作者の「車 浮代」さんは時代小説家。江戸文学、特に江戸料理と浮世絵に造詣が深い作家さん。
車さんが、本格的に江戸料理を作り始めたのは、あの3.11から。
“冷蔵庫がなく、燃料が高価なため、発酵食品や保存食が発達し、短時間で省エネルギー、旬のヘルシーな食材を、あまり手をかけずに食べられる江戸の庶民料理は、飽食の時代を見直すきっかけとなり、何かのお役に立てるのでは・・・と考えました。”(本書 あとがきより)
また、“油と砂糖が高価、基本的に四つ足の肉は食べてはいけないとされる江戸料理は、引き算をすると、体によいものばかりがのこることになります”と前書きにあるように、この本の中の江戸の庶民料理は、現在の私たちにもとても身近な和え物や焼き物、風呂吹き大根などの煮物や蒸し物、汁物や混ぜごはんなど・・・。
こうしてみると、私たちの食生活の中にも、江戸文化の香りはのこっていることが実感できます。
またコラムでは、だしの取り方、味噌床の作り方、煎り酒などの江戸時代からの調味料の作り方も。
レシピも旬を意識して、睦月から師走まで12ヵ月ごとにわかれ、さらに「健康によい」「美容によい」「ダイエット効果」「10分でできる」「火を使わない」「保存できる」などのアイコンもついて、機能もわかりやすくなっています。
日本の伝統料理は京料理だけではない。
江戸時代の「庶民の和食」はとても由緒正しく、平成の時代になっても健康的でエコな料理であることが実感できるはず。
レシピ本としても、優秀です。ぜひ、あなたの台所書庫に一冊、いかがでしょうか。
Written by 唐澤佐千子(オルガナ編集長・アンチエイジングフードマイスター)