江戸の健康食を今に取り入れる!
江戸期は400年に亘って和平が続いたことから学問や芸術などが大発展した時代です。
食もまた「日本の風土と日本人に合った食事」として研究し尽くされ、この時にほぼ確立されたといっても過言ではありません。
しかし、明治から特に戦後にかけて急速に食の欧米化が進み、豊かになった反面、生活習慣病などが急増し、食生活によって健康が大きく損ねられていることは誰もがご存知の通りです。
そこで、見直されているのが、「江戸の健康食」。
私たちが普段食べている「現代の食事」に、江戸時代の食の叡智を取り入れることで、現代の食の豊かさを享受しつつも、美容と健康を保つ「医食同源」を実践することができるでしょう。
そのヒントとなるトピックスをシリーズでご紹介していきたいと思います。
その一「そもそも“江戸の健康食”ってどんなもの?」
「江戸時代の食事」を知る上でカギとなる、名言やことわざをいくつか紹介しましょう。
● 料理はその席或はその客の躰心によりて献立し塩梅すべし
「食べる人の体や心の状態に合わせて、料理の献立や味付けに配慮せよ」という意味です。
個々で食べるべきものが異なっており、「医食同源」の考え方が浸透していました。
●三里四方の野菜を使え
遠いところから運ばれて来た野菜より、地産地消こそ望ましいと言う考え方。
その土地の食材はおいしく、気候に合っており、人間の体にもよいというわけです。
● 医者に金を払うより、味噌屋に払え
発酵技術が進化し、様々な発酵食品が誕生した時代でした。
味噌や醤油などの調味料の他、野菜や魚介類の発酵食品が健康によいことを体験的に知っていたんですね。
●白飯大食いの「江戸煩ひ」
米の流通が発達し、その中心地である江戸では白米をたっぷり食べるのがステイタスだったとか。
しかし、その結果煩ったのが「脚気」。
玄米を食べる地方に戻るとなぜか治るとして「江戸煩ひ」と恐れ、蕎麦を療法として食べることが流行りました。
● 酒は百薬の長、百毒の長
既に多種多様なお酒が開発されていた江戸期。居酒屋が登場し、江戸では飲食店の中でも最多を誇っていたとか。
そこで提されていたのが、燗酒。世界でも珍しい飲み方は、体を温め、悪酔いしにくいという利点があったようです。
詳しくはこちらの記事も・・・
【江戸の健康食】http://anti-agingfood.com/693/
その二 献立の基本となる「ご飯=玄米」について
江戸時代にも「白いご飯」は存在していました。
しかし、そのほとんどは江戸などの都市部に集中し、多くの農村部では多くが玄米や雑穀を食べていたといわれています。
そのため、白米をたっぷり食べられる江戸の町人たちはとても豊かに感じられていました。
しかし、身分の高い武士か裕福な商人などを除き、白米以外の食べ物をあまり摂っていなかったため、ビタミンB1不足となり脚気が流行していました。
そして江戸で脚気になった人が、田舎生活をするとすぐに治るため、「江戸煩ひ」と呼ばれていたのです。
逆に言えば、白米ではない玄米を食べていた人たちは、質素なおかずでも元気で頑強だったことが伺え、「玄米」の健康効果がクローズアップされるものとなりました。
そのポイントについて簡単に紹介しましょう。
● ビタミンB1などのビタミン・ミネラルが豊富
白米にはほとんど含まれないビタミンB1やビタミンB2、ビタミンB6、カリウムなどが豊富に含まれています。
また、ビタミンEも多く、白米の約6.5倍も含まれています。
また、カリウムや鉄、マンガンなどといったミネラル分も豊富です。
もちろん他のおかずから摂取することも可能ですが、副食を揃えることでハイカロリーになる恐れも。
様々な栄養素を低カロリーで摂取するという点で、玄米は理にかなっていると言えるでしょう。
● 食物繊維が豊富
生活習慣病予防のためには、腸の健康が必須です。
そして腸の健康を守る腸内細菌は食物繊維を餌に活性化します。
玄米は主食ながらも、食物繊維を豊富に摂取でき、腸の活性化によるデトックス効果も期待できます。
● おにぎりなどの冷めたご飯の効果
江戸時代は保温機などがなかった時代。
炊きたてのご飯は朝食のみで、昼はおにぎりなどの冷や飯でいただくのが一般的だったようです。
冷や飯には難消化性でんぷんが多く含まれていることから胃で消化されにくく、繊維質のように大腸に届いて腸内細菌の餌となります。
結果、血糖値の上昇を緩やかにし、脂肪の効率的な燃焼を助けると考えられています。
江戸時代の人のスタミナの秘密はおにぎりにあったのかもしれません。
●発芽させることでより高い健康効果が
玄米の中でも発芽玄米は、健康成分として注目されるGABA (ギャバ) を多く含みます。
GABAはアドレナリンの分泌を抑え、情緒・精神を安定させ、高血糖予防、アルツハイマー予防効果があるといわれています。
詳しくはこちらの記事も・・・
【米・大豆 ~日本の食の源・素のままを食べよう~】
http://anti-agingfood.com/8/
いかがでしたか?
江戸時代は、日本人の食に関わる様々な知恵が「生きること」に直結し、循環していた時代。発酵学、食品文化論、醸造学・縄文食研究の日本の第一人者でありユニークな論説とわかりやすい語り口で多くのファンを持つ、「発酵の神様」東京農業大学名誉教授・小説家である小泉武夫さんから、その知恵を現代に活かすためのヒントを直接ご教授いただく講演会があります!
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