2017.2.19 日曜日

江戸の健康食を今に取り入れる!その二

江戸の健康食を今に取り入れる・・・第二回目は「発酵食品」についてです。
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  • 味噌

和食の特徴の1つは発酵食品が多いこと。
中でも、最も身近な発酵食品といえば、味噌汁の「味噌」でしょう。
文献上では室町時代から、しかし既に平安時代から未醤という味噌の原型が知るものに使われていた記録があります。
となると、1000年以上に亘って、日本人の食を支えてきた存在なんですね。
 
味噌は、米という炭水化物を主食としている日本人にとって欠かせない存在です。
発酵によって大豆のフィチン酸塩、酵素阻害物質などの反栄養素が分解され、
新たな栄養が産出されることで、高い健康効果が得られます。
さらに酵母や乳酸菌による生成物は味や香りだけでなく、腸内の善玉菌を活性化する働きがあり、
生活習慣病予防に欠かせない整腸に大きく貢献します。
>もっと詳しく>http://anti-agingfood.com/570/
 
それ以外に江戸時代に好んで食べられていた(飲まれていた)発酵食品を紹介しましょう。
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  • 多種多様な「納豆」

糸を引く納豆については今もポピュラーでご存知の通り。
江戸時代には他に、塩辛納豆と呼ばれる糸を引かない納豆もよく食べられていたと言われています。
原型は大陸から伝わり、納豆菌ではなく麹菌を使い、大豆麹になったところを塩水につけ込んで耐塩性の乳酸菌で発酵させてから乾燥させたもの。
他にも納豆を干した干し納豆や、納豆をすりつぶして汁にした呉汁など、愛食されてきた納豆を上手に今の食卓に取り入れましょう。
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  • 身近な整腸剤「漬け物」

 
一夜漬けや梅干しなど発酵させないものもありますが、漬け物の多くは発酵食品です。
発酵による酵素の働きにより、野菜の抗酸化物質(フィトケミカル)の結合がとれ、効率よく抽出されて吸収しやすくなる他、乳酸菌とその生成物を豊富に摂ることができます。
特におすすめなのが「ぬか漬け」。
ぬか2gの中には約2億もの酵母や酪酸菌、乳酸菌がひしめき合っています。
利用しない手はありません。
>もっと詳しく>http://anti-agingfood.com/375/
 
他にも、かつお節やくさや、塩辛、熟れ鮨などの魚介を用いた発酵食品も日本食の特徴と言えます。
クセが苦手という人もいますが、慣れるとクセになるのもまた事実。
暮らしの中に江戸時代の知恵としての「発酵食品」を上手に取り入れてみませんか?
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  • 日本酒だって発酵食品

そもそも「日本酒」は発酵食品の1つ。 それも江戸時代のお酒は今と比べると、かなり甘くて濃厚なものでした。
というのも当時は、原料となるお米の精米歩合が9割程度。 当然雑味も多く含まれ、発酵の過程で糖化が進みます。 また製法も、現代のように乳酸菌や酵母を加えるのではなく、天然の乳酸菌、天然の酵母を増殖させていました。 そのため1ヶ月以上もの時間をかけてじっくり醸造していたのです。
糖化が進み、とても甘かったので、飲む際には水で薄めるのが一般的だったと考えられています。 一方、アルコール濃度は現在とほぼ変わらず、17~20度程度。 となると、おそらく味わいはみりんを薄めたもので、アルコールは5%くらいと想像できるでしょう。
もちろん、醸造アルコールなどは使わず、シンプルに米の旨みを凝縮したものでした。 栄養的にも酵母などが分解に励んだ結果、ビタミン類や肝臓によいペプチド、必須アミノ酸などがたっぷりと含まれており、まさに滋養強壮剤といえるでしょう。
そして、日本酒で特徴的なのが「飲み方」です。 現代よりもこっくりした味わいで、「冷や」より「燗」として温めて飲むことが一般的でした。 1811年の江戸に1,808軒もあったとも言われる「居酒屋」では、 「チロリ」という容器にお酒を入れ、銅壺で湯煎して温めて出していたようです。
かつては中国の習慣を真似て、9月9日の重陽の節句から翌年の3月3日の桃の節句まで 温めたお酒を飲んでいたとされていますが、 江戸時代中期には年中「お燗」が定番だったようです。 その理由は明確ではありませんが、体を温め、血の巡りを良くするなど、 東洋漢方学的な意味合いが強かったと考えられています。
ちなみに適量といわれていたのが「こなから(小半)」。 1升の4分の1のことで、2合半。 日本人が分解できるアルコール量の平均からは、約2合とも言われていますが、 当時は薄めて飲んでいたことを想像すると、 今のお酒なら1合程度がちょうど良い飲み方といえるかもしれません。
また、日本酒の飲み方として「漬け込み酒」「薬酒」という楽しみ方もあります。 こちらについてはサイト上にまとめましたので、ご覧ください。 関連記事はこちら http://anti-agingfood.com/737/
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  • 飲む点滴「甘酒」

 
酒は酒でも「甘酒」は、蒸した米に麹とお湯を加えて、糖化させたもの。
米にお湯と麹を加えて温めておくと、でんぷんがブドウ糖に、たんぱく質が多彩なアミノ酸に分解され、さらに様々なビタミン群が生成されます。
さらに乳酸菌発酵、酵母による発酵でアルコール発酵をさせると日本酒になります。 この日本酒を作る過程で作られるものなので「酒」とついていますが、アルコールは入っていません。 しかし、甘酒は「麹成分の抽出液」として糖化で作られたエネルギーになりやすいブドウ糖をはじめ、必須アミノ酸を多く含み、さらにビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、ビオチンなども多く含まれます。 つまり、当時で言えば「必須アミノ酸たっぷり&総合ビタミンドリンク」というわけです。
ちなみに、今は甘酒というと「冬にホット」が定番ですが、江戸時代では夏の風物詩。 「夏バテ防止用」として飲むのが一般的だったようです。 米と麹があれば、自宅でもヨーグルトメーカーなどで簡単につくれるので試してみてはいかがでしょうか。
そういえば、映画「リトルフォレスト」の夏編で、この甘酒にヨーグルト(乳酸菌)とイースト菌(酵母菌)を加えてサワーをつくり、 氷をザクザク入れて飲んでいました。 そのおいしそうなこと!ちなみに発酵させてアルコール濃度1%以上になると取材法違反の「密造酒」になるので、作ってみたいという方は発酵させ過ぎに気をつけてくださいね。
―――――― 江戸時代のお酒の話も登場するかも!?
【日本アンチエイジングフード協会3周年記念講演】
発酵のカミサマ:小泉武夫さん講演会 江戸の健康食~発酵と日本人の知恵~
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江戸時代は、日本人の食に関わる様々な知恵が「生きること」に直結し、循環していた時代。 その知恵を現代に活かすためのヒントを、東京農業大学名誉教授・小説家である小泉武夫さんをお招きして、たっぷりうかがいます。
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【お問合せ】 日本アンチエイジングフード協会事務局 担当:青木
(下記フォームでご連絡ください) http://anti-agingfood.com/contact/
●お申込み方法 下記サイトの申し込みフォームにご記入の上、料金のお支払いをお済ませください。 中高生の方の場合はお申し込みのみ受け付け、当日会場にて料金をいただきます。 http://aafm.thebase.in/items/4822426