江戸の希少柿 江戸一
江戸に古くから伝わる柿「江戸一」をご存じですか?
江戸一は、不完全甘柿「百目柿(ひゃくめがき)」の完全甘柿品種ですが、完全に甘柿というわけではなく、何割かの割合で渋柿が混ざりますが、甘柿の食味は完全甘柿の次郎や阜裕とはまた別格の味・・・と言われています。
我が家の庭には柿の木が生えていて、昨年は実がなる前にばっさりと剪定されてしまったのですが、今年は摘果もしない自然派なので、自由にたわわにたくさんの柿の実をつけています。
この柿、義父母が50年以上前に庭に植えたもので、当時苗木が5000円もする高級品。
江戸の希少種の柿「江戸一」ということで、庭に大事に植えられたそうです。
月日は経ち、たいして甘くない柿のレッテルを張られ、迷惑もの扱いだったのですが、今年は上のほうの日当たりのよい実が、秋冬の鳥たちの食糧としてもりもり食べられているので、これは甘いのか?と収穫作業。
たくさんの柿の実がとれました。
受粉木があるわけでもなく(本来は禅寺丸、筆柿あたりを一緒に植えるそう)、完全自然栽培(笑)。
甘く育てるための摘果もしていないので、感覚的には6~8個に1個甘柿があるという感じ。
そこで渋柿を甘柿にしてみました。
方法は簡単。
ヘタの部分を30-50度の焼酎やホワイトリカーにちゃぷっとつけ、ビニール袋に密閉して1週間ほど置くだけ。
柿の渋みはタンニンという成分で、そのタンニンを他の物質と結合させ、食べた時に渋みを感じさせなくするという仕組みだそうです。
残りの柿は干し柿にしてみようと思います。
私の住む武蔵野の端っこの一番江戸に近かったあたりは、当時名家の別邸があったり、鷹狩にお殿様がやってきたような場所。
現在は全くの住宅街なのですが、果樹はどの家にも何種類か必ずあり、戦後ここに住んだ人たちがリアルに映画「人生フルーツ」の庭を楽しんでいたことがわかる古いお家がとても多いのです。(相続などでそういう古いお家はどんどん新築の庭もない新しい家何軒かに生まれ変わっていっていますが)
嫁に来た我が家の庭もご多聞にもれず、自給自足を当たり前とする東京人の古い営みの証として、柿、きんかん、いちじく、月桂樹などいろいろな果樹、勝手に生えてくる大葉、しょうがなどがその歴史を語っています。
そしてちいさな猫のひたいのような自家農園。(もちろん無農薬)
小さな家族が食べる量としては十分な品目程度ですが、3.11の後の葉物の高騰していた時はちょうどほうれん草がわんさかとれていて、ご近所にお裾分けなどをしていました。
都会の中にも今でも残る「江戸の暮らし」は案外、あるものです。
昔は当たり前だった自宅で食べるものが収穫できる喜びは、毎日を丁寧に暮らすことかもしれません。
そんな生活は案外身近にあるのかもしれませんよ。