普段着物でお味噌つくり@神楽坂 発酵美人堂
着物というとよそいきの訪問着や付け下げ、そういうシーンでしか着ないという方は多いのではないでしょうか?日本人はつい7,80年前は着物の日常がデフォルトでした。もちろん、普段着物は正絹ではなく紬やウールや綿などの洗える着物。今ではポリエステル着物もお家でじゃぶじゃぶ洗える着物です。昔の人はみんな普段の家事や仕事を着物でしていたはず。いつの間にか、着物はよそいきのものになってしまっています。帯も難しいし、普段は無理・・・そう思ってませんか?でも普段着物にぴったりの半幅帯という自分でも結びやすい、そして洗える手軽な帯があります。そんな「普段着物と半幅帯の着付けをした後、お味噌仕込みをする教室をやりまーす!」と、オルガナの発酵料理記事でもおなじみ神楽坂発酵美人堂の清水紫織さんに聞き、さっそく行ってきました。
まずは普段着物と半幅帯に挑戦
ご指導いただくのは大人気の着物家 伊藤仁美さん。
仁美さんはあの京都 建仁寺塔頭両足院に産まれ育ち、祇園を拠点に着付けやスタイリング、和装小物の企画に携わったのち、2015年活動の拠点を東京へ移し、白金にプライベートサロン〈enso〉をオープン。着付けの個人レッスン、講演、メディアでのスタイリングや着付けを手掛け、着物に関わるイベントで国内外に活躍の場をひろげている今、大人気の着物家です。
日本橋三越での着付けレッスンに惚れ込んだ発酵美人堂女将の紫織さんがぜひいっしょに発酵食とコラボを!と今回のコラボレッスンが実現したそうです。
まずは長襦袢の着方、衣紋の美しい作り方から。衣紋といえど、その方の髪型、顔の形、イメージ、そんな個性をいかした形に仕上げるのが仁美流。衣紋を丸く抜く、鋭角に抜くこれだけで断然イメージが変わります!さらに首回りに魔法の1cmを開けることで、びっくりするくらい首が長くみえるというマジックが!
そして、絶対衣紋が崩れない長襦袢の秘密技。あたりまえだけどなかなかできない、胸紐より上の背中部分の余分なシワをすべて取り去り、カラダになじませる技!
さらに、襟元を絶対崩さない仁美流の技、ナースピン使いと続きます。
着物という布と自分の肌をなじませていくという仁美流の着付けは、どんな年齢のどんな方にもその人に最適で、快適な着心地をもたらしてくれます。
次々とでてくる魔法の技に生徒一同、なるほど~と感嘆のため息。
普段着物ならではの「可動域」を広げた着付けは、結ぶ紐も最小限でしかもきつくしすぎないのが仁美流の技。むしろ着物を着ていた方が動きやすいという魔法がかけられてしまうのです。
さらに、半幅帯を自分で簡単に結ぶ方法・・・自由に帯をアレンジすることでどんどん変わる帯の表情に皆さんシャッターを切りまくりです。お願いして、帯締めをプラスしたアレンジをして頂き、変わり帯締めの装飾も。組み紐が仁美先生の手にかかると、美しいバラのように変化していくのが楽しくて・・・。
最後にたすきの掛け方を習い、普段着物完成!
参加された皆さんの個性あふれるそれぞれの着こなしはお見事でした。
たすきをかけて味噌つくり
昔の日本人は、煮炊きや伝統的な発酵食作りなど絶対着物でやっていたはず。それを現代人の私たちもできないはずはないと、今回の着物で味噌つくりを企画された紫織さん。紫織さんも普段の発酵教室をお着物で手際よくされています。
1人1セットずつ用意いただいた、ゆでたてのほんわり暖かい北海道産有機大豆、天然塩と無農薬無化学肥料のマルカワ味噌の生麹。
一番汚れそうな大豆をつぶす作業は、厚手のビニール袋の中で行うので、安心して作業ができます。
大豆のつぶしたのが着物についたらいやだなぁと紬で参加した私ですが、一本の腰紐をつかったたすきであら不思議。まったく気になりません。むしろ大豆をつぶす作業は腰をいれて、まんべんなくすべての大豆をつぶしていくのですが、なんと帯のおかげで腰が楽!というおまけつき。
さらに作業をしながら、紫織先生の発酵講座。天然醸造とそうでないものとの違い。麹の酵素についてや、微生物の働きについての話を聞きながら、手を動かします。
次は大きなボールに生麹と塩をいれ、塩切り麹をつくります。ほんわかとした麹の香りがたちこめ、日本人の遺伝子がうずきます。
つぶした大豆と塩切り麹をよく混ぜ、味噌玉をつくっていきます。
最後に持ち帰り用の味噌用パックにつめて、空気を抜いて出来上がり。
発酵美人堂の味噌は天地返しの必要がなく、そのまま熟成の過程をみていけるので、カビなどの対処もしやすいのが特徴。さらに、こういった発酵食は蔵付きの酵母がいい仕事をしてくれるのですが、発酵美人堂に住む酵母もまた、とても旨味のつよい美味しいお味噌にしてくれるのです。1年後の出来上がりが楽しみです。
最後は、お楽しみの発酵食たっぷりの軽食の時間♪
雑穀米にお味噌汁、発酵美人堂製のぬか漬けや漬物、柚子胡椒味噌などを頂き、デザートはなんと味噌マフィン!
最後に皆さんで記念写真です。
神楽坂だからこその古き良き和の体験
日本に住んでいながら、なかなか感じることができない古き良き和の世界。
普段着物と発酵食作りはまさにそんな古き良き和の世界のいいとこどり。
麹を扱う作業も着物で行うことも、わすれていた自分の中に眠る和の感覚、日本人としての遺伝子を思い出させてくれるような体験でした。
日本人はもちろん、和の世界が大好きな海外の方々にもぜひ体験してほしいなぁと心から思いました。
神楽坂は都会の真ん中のビル群の中にぽこりと残る、古き良き江戸の風情を残す街。
この二人の素敵な講師による、神楽坂だからこそ体験できるとてもスペシャルな和の時間をぜひ体験してみてください。
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