知ってますか?奥深い「みりん」の世界・・・
しっていますか?奥深い「みりん」の世界
「みりん」というと、甘味調味料として日本料理には欠かせない存在ですよね。でも、「お酒みたいなものでしょう」「お砂糖でいいのでは?」といった方も少なくない模様。中には「入れすぎると味がおかしくなるから入れていない」という方も…。でも、それはもしかしたら「みりん風調味料」かもしれません。
みりんの起源は諸説あり、中国起源説では明の時代に「蜜淋」という甘いお酒として伝わった、そして日本起源説では室町時代に白酒、練酒と呼ばれる甘いお酒に米焼酎を加えて飲むようになったとされています。いずれにしても高級な嗜好品であり、調味料として使われるようになったのは江戸中期以降のようです。
蒸したもち米と米麹を合わせて焼酎に漬け込み、しぼったものを1〜3年貯蔵して熟成させる。そうして手間ひまかけて作ったみりんの多くは江戸に上り、蕎麦つゆや鰻の蒲焼きのたれなどに使われるようになりました。
そんな歴史の中で、「みりん風調味料」が登場してきたのは、昭和の戦中戦後の時代。食べる米がないのに調味料に使うのは贅沢とされ、ほぼ製造中止の状態となってしまいます。原料を確保して作れたとしても、価格の8割近くが酒税という状況で、それを逃れるために登場したのが「みりん風調味料」や「発酵調味料」でした。
「みりん風調味料」はブドウ糖や水飴などの糖類に、グルタミン酸などの化学調味料などをブレンドして作ります。製造費が安いことに加え、熟成させる必要がないため、経済成長の後も大量に流通し、その多くが置き換わってしまいました。みりんと名がついても、全く別のものなのです。
また、本物のみりんであっても、近年の工業化に伴い、醸造・熟成期間は1〜2ヶ月程度という「新式」製造法が主流。やはり、江戸時代からの「旧式」製造法のみりんに、味も風味も軍配があがります。
そんな昔ながらの「みりん」を今も製造している蔵元は、数が少なくなったものの、少しずつ生産はのびているそう。代表的な旧式製造法のみりんを紹介しましょう。
角谷文治郎商店「三州三河みりん」
http://www.mikawamirin.com/
白扇酒造「福来純本みりん」
http://www.hakusenshuzou.jp/
九重味淋株式会社「九重櫻」 http://www.kokonoe.co.jp/
李白酒造有限会社「李白本みりん」http://www.rihaku.co.jp/
似ても似つかぬ「みりん風調味料」にお株をとられた経緯があるからか、どちらのサイトもしっかり「みりん」についてアピールをされています。覗いてみるといろいろと興味深いですよ。あっさりした1年もの、コクと旨みがたっぷりの3年もの、というように好みに合わせて選ぶのも楽しいですね。
なお、気になる(?)「糖質」ですが、ショ糖だけを成分とする砂糖とは異なり、みりんにはブドウ糖やオリゴ糖などわかっているだけでも9種類以上の糖類が含まれており、その効果もあって複合的な丸みのある味わいに仕上がるというわけです。その他にも、おいしそうなつやと照りをつけたり、旨みを逃がさず均一の味付けができたり、煮崩れを防いだり、臭みをとって香ばしさを増したり、と大活躍。
そもそも、いいみりんは甘くてコクがあってリキュールのような味わい。お屠蘇ももとはみりんで、点滴を打つより元気になるともいわれているほど。甘くて風味があって…となれば、和食以外にもいろいろ使えそう。というわけで、調べてみると、李白酒造さんのサイトに、お砂糖の代わりにみりんをつかった「スイートポテト」のレシピがあるのを発見!
【材料】
李白本みりん 大3、さつまいも 200g 、牛乳 大2、バター 15g、●卵黄 1/2個、●李白本みりん 大1、卵黄 + 水 少々
1.芋を蒸して潰し、熱いうちにバター、みりん、牛乳を加え混ぜます。
2.1を鍋に入れ火にかけ水分を飛ばし粗熱をとります。
3.粗熱が取れたら材料の●を加えて成形し、卵黄+水を塗り、180℃のオーブンで約20分焼きます。(きつね色になったら出来上がり!)
http://www.rihaku.co.jp/?id=79
上品な照りと甘さで、まるで和菓子のようなできばえ!
他にも「ちょっとお砂糖を控えたいな」というときに、いろいろ使えそうです。和食はもちろん、他の料理やスイーツなどにも、いろいろと置き換えてみてはいかがでしょうか。
オルガナ編集部